本格的な豊胸の技術としてバッグ挿入法に並び称されるのが脂肪注入法です。この方式で最も注目すべき点は、バストに注入する物質を本人の脂肪細胞で賄うという発想です。同じ注入法でもヒアルロン酸に比べ、より高度な医療技術を要するということで、いわゆるプチ整形とは一線を画する豊胸です。この方式は、身体全体のバランスをトータルにコントロールする、いわゆるボディデザイン治療、と並行して行われることの多い豊胸です。
豊胸に用いる物質をユーザー本人の脂肪細胞で行うわけです。したがって、親和性という面でこれ以上のものはありません。その脂肪細胞も、気になるお腹・ヒップ・太腿などから調達するわけですから、痩身治療も実現できてまさに一石二鳥。若いユーザーだけでなく、30代、40代以上のユーザーのアンチエイジング治療の一環としても人気の高い豊胸だというのも納得です。
脂肪細胞については、最新の医学・生物学の成果を応用した、脂肪幹細胞を利用するような、豊胸の方式が実用化されています。いうなれば脂肪細胞のさらにエッセンスを注入するわけですから、より高い効果と信頼性が得られます。この脂肪幹細胞も、もちろんユーザー本人の脂肪細胞から分離抽出されるわけです。シリコンバッグ方式ほど劇的な外見上の変化は見られませんが、元々ある程度バストの大きさがある人の場合や、全体的な形状、バランスを整えるという場合に極めて有効な豊胸です。
豊胸で注入された脂肪細胞・脂肪幹細胞はどうなってしまうのでしょう。これは注入された部位、この場合はバスト部分で毛細血管に吸収され、細胞組織として定着するのです。つまり、以前はお腹にあった脂肪がバストとして生まれ変わってしまうのです。ただ、注入したすべてがバストに生まれ変わるのでなく、吸収されなかった分は自然に吸収拡散してしまいます。この生着率については個人差があるので、一概にどれくらい豊胸ができるかと断言することは難しいようです。ですからこれもプチ整形の豊胸の場合と同じで、症状に合わせてプランが組まれます。
脂肪細胞にしても脂肪幹細胞にしても、ウェストやヒップ、太腿の余剰脂肪を吸引し、そこから精製分離した「材料」を吟味して豊胸に利用するわけですから、この場合の利点は何よりも定着性・親和性に優れていることです。ボディデザインのような治療メニューとハイブリッドで実施するのに最適な豊胸ということで、現在人気を高めている治療法なのです。また、この方式とシリコンバッグ挿入法とを併用することで、さらに完璧な豊胸を実現しているクリニックも増えているようです。